ビル・RC住宅の雨漏り

新築7年目のRC住宅の雨漏り
〜シート防水の欠点とは?〜
No.16099

W様邸/2016年施工屋上防水工事

新築7年目のRC住宅の雨漏り〜シート防水の欠点とは?〜

 以前から何度か別件でご相談をいただいていたW様から雨漏りのご相談をいただきました。
 W様のご自宅は、有名一級建築士が設計した鉄筋コンクリートに陸屋根の建物で、大変前衛的なデザインをしていました。一級建築士が自由にデザインした建物は、実際に住んでから困ったことが起こるケースが多く、W様のお宅もそういった問題が起こっていた建物でした。まだ築7年目にも関わらず、天井部分から雨漏りが発生しているとのことでした。

 早速屋上部分を調査したところ、当社では絶対に行わないシート防水(※)が施工されていました。屋上を歩いてみると、マットレスのように弾力のある状態でした。調査したところ、コンクリートで形成した上にスポンジのようなもので断熱をして、その上にシートを張っているという、これが本当にプロの設計なのかと目を疑うものでした。屋上は歩行を前提とした場所であるのに、弾力のあるスポンジの上に継ぎ目の生じるシートを張れば、弾力による浮き沈みですぐにでも継ぎ目が切れてしまうことは、素人でも分かる事です。シートを剥いでみると、コンクリートの下地は何の防水処置もされておず、亀裂が多数入っており、雨漏りして当然という状態でした。

※シート防水とは
 複数枚のシートを接合し防水層とする工法ですが、接合部から浸水しやすいという大きな欠点があります。一度シートの下に雨水が入り込んでしまうと、シートの下は陽があたらない為に、侵入した雨水が乾きにくく、下地やシートの接着面を傷め続けることになります。厚いシートの下は陽も当たらなければ風も吹き抜けませんので、水はずっと滞留し、下地であるコンクリートは常に湿った状態となります。結果、下地の劣化や接着面の劣化によるシートの剥がれ等を引き起こしむしろシートが無い方が良いような状態に陥ってしまうのです。継ぎ目の有無は防水工事において、防水性能、耐用年数などに直結する大きな要素と言えます。
 公共工事の流れからいまだに使われ続けるこのシート防水だけでなく、後の事を考えずに到底考えられないような施工を行う自称プロの業者は星の数ほど存在します。素人だから分からないと思考停止するのではなく普通に見ておかしいものは誰の目から見てもおかしいものです。見積もりひとつ、施工ひとつにしてもしっかりと検証していくことが重要であると考えます。
施工前画像

 こういったケースは、当社がよく遭遇する分業により起こってしまう問題点が如実にあらわれている現場です。一級建築士の設計がおかしくても、現場監督が気づく。現場監督が気づかなくても、施工している職人が気づく。このように各過程で誰かが疑問に思わなければいけない内容ですが、誰も疑問に思わずに建てられてしまった結果、築10年も経たずに雨漏りしてしまう建築物ができてしまっているのです。
 一度上に張られているシート、断熱材を剥ぎ、亀裂の入った部分を補修し、塗膜防水を施すことで、無事に雨漏りは止まりました。

施工中画像

施工後画像

 近年、新築から10年と経たずに雨漏りしている建物が非常に増えております。建てたところが倒産してしまい何処に相談したらいいか分からない。また、建てたとこに相談してみたが、お茶を濁すばかりで全然解決しない等ありましたら、当社にお気軽にご相談ください。
施工担当者

2級建築士
1級建築塗装技能士

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